下水の遅れで小川は無残
私の住む場所は水田が多い地区だから灌漑用水路が至る所に走っている。新しい村ができて、用水の一部が親水ゾーンのようになった。下の写真である。石垣が積まれ、雑木林へ入る木の橋がかけられた。いつの間にかザリガニが住み着いた。夏場の一番暑い時間帯も木陰ができてファミリーの格好のプレイゾーンになっている。昨年の夏休みはここで、「ザリガニ釣り大会」が開かれたが、今年はどうだったか記憶にない。業者とおぼしき男たちがこのあたり一帯の水路でザリガニを一網打尽にしていたのを目撃している。たぶん夜店の商品を仕入れていたのだろう。そんなことがあってか、ザリガニの姿が極端に少なくなった。
新しい村ができる前、芝生の広場は湿地帯と田んぼ。道は狭く水路も切り立っていた。木の枝は道におおいかぶさり、昼なお暗き、であった。ここで生まれ育った人に聞いたところでは、昔はこのあたりに「蛍」が出たのだそうだ。私は見たことはないのだが、「かわせみ」と2度遭遇した。手の入った明るい自然環境になってから、あの美しい鳥を見ることはなくなった。
で、親水ゾーンであるが、それにしては水がばばっちいのである。水辺に下りることはできるがヌルヌルして気持ちが悪い。もともと灌漑用だから、田植えシーズンが終わると水量は細くなる。雨が降らないとますます流れはたよりない。捨てられたゴミが木の枝にひっかかり、とても水に親しむ気にはなれない。さらに追い討ちをかけるのが、ここは生活雑排水が流れているのだ。
この町は下水の普及が遅れている。駅周辺や戸建団地など市街化地域は完備しているが、家が点在している市街化調整区域は文化の恩恵に浴していない。少ない家のために大掛かりな基礎工事を行うのは大変だから、たぶんこの町では一番遅れるだろう。未だに工事着工のアナウンスもない。
このため、台所からの水は簡易ろ過装置を通って水路に流される。それが親水ゾーンに流れているのだ。(足を入れる気にもならない)外見だけ整えても根っこの部分がおそまつ。
親水ゾーンの上流を歩いてみると、塩ビのパイプが水路につき出ている。排水量に比して口径がまちまち。昔からの排水パイプはスパッと切り落としただけだが、新しい住宅のものは、排水口が下を向いている。ここは「内郷用水」というのだそうだ。犬の散歩の折、すさまじい勢いで排水しているパイプがあった。しかも異臭を発していた。家庭用とはとても思えない。工業用の排水のように感じた。この町は固形ゴミのクリーン作戦は行うが、水をもっと見直したほうがいい。どの水路や、川も生活雑排水が流れこんでいるので、ヘドロが沈殿し、よどんでいる。

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