短い生涯
行く夏を惜しむように朝から晩まで蝉が鳴いている。8月は油蝉、みんみん蝉が暑さを増幅するように賑やかなのだが、今年は冷夏だったので、天候と蝉の声がなんとなく不釣合いだった。夕方はカナカナ(ひぐらし蝉)が音の主役になった。9月に入ると「法師蝉(つくつくほうし、おーしんともいう)が勢力を伸ばす。ちょっとたよりげない鳴き声を聞くと夏は終わると感じる。
蝉は数年間地中で過ごし、夏いっぱい鳴き続けて短い一生を終わる。我が家には越してきたときに風除けに植えた2本の金木犀がある。9年間で幹も太くなり屋根を超えるほどになった。いつの頃からかここから羽化してゆく蝉が多くなった。今年も葉にはかなりの数の抜け殻がへばりついている。羽化は夜間に行われるので見たことがない。
金木犀の根元に多くの小穴が開いている。交尾を終えたメス蝉がどのように卵をうえつけるのかは定かではないが、ここをふるさとにする蝉がかなりの数になるのは確かだ。
空蝉。
朝の犬の散歩のとき、天寿をまっとうした蝉を見かけることがある。哀れと思ってはいけない。これが「蝉の掟」なのだ。
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