樹 林
根を生やして以来一度も手入れをされたことのない樹木の群れ。地表には笹が密生し踏み入れる人もいない。「秩父へ行って撮影しました…」と言っても通用しそうな原生林である。しかし、わが家の裏手なのだ。幸い「新しい村」の「緑のトラスト」指定地域から外れていたため、本来の原風景をとどめている。●このあたりには野生のウズラのファミリーが住んでいる。夫婦が3〜4羽の子供を従えて足早に移動する姿をよく目にする。今年の春、超低空で飛んできた親ウズラがわが家のガラス窓に激突。目の前で脳震盪を起こしてしまった。私の手の中で数秒間仮死状態だったが、やがて息を吹き返した。笹藪に放してやるとあわてて姿を消した。ずっしりとしておいしそうだった。
●その昔、トクホン工場の敷地は赤松林だったらしい。古老の話では子供の頃はマツタケがとれたという。この付近の用水では絶滅種に指定されている「タナゴ」もとれた。住宅が増え(わが家もその中の1軒だが)、生活排水が流れ込みほとんど見かけることもない。今では町役場の水槽で棲息するくらいか。●つい最近、逆井の用水で子狸が3匹おぼれていたという。発見が早かったために命は取りとめたとか。私が宮代樹海と名付けている林に住んでいるのではなかろうか。●先日、カワセミを見た。今年になって2度目である。視野に入ったと思ったら1秒もたたないうちに「樹海」の中に消えていった。宮代の珍鳥は確実に新しい村から北の方に移動しつつある。●手入れの行き届いた見通しのいい林では住みにくい鳥もいるのだ。

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