枯芒
深夜季節風が吹いた。お陰さまで昨日まで道を被っていた栗の落葉が掃き清められた。ときに季節風は巨大なクリーナーにもなる。これから北西風が吹く日がふえる。風の強さは以前はレジーナのてっぺんについていた旗が目印だったが、あまりの強風のため吹き飛んでしまった。今年は竹ドームの旗が風力の指標になる。●芒は月見の風情を盛り上げてくれるが、枯芒は凄みがある。特に冬の夜。凍てついた空に月が輝く。その切れそうな光を受けた芒の穂は、年老いた人の髪のようであり、風に揺れる穂は人を招くようにも思われる。●「炭俵、元をたどれば野山の芒。月と遊んだこともある。」昔の人は風流だった。薄汚れた炭俵を見ても、原野で生き生きとしていた芒のことを想像できるなんて。その感性の豊かさに驚かされる。この都々逸は、とりもなおさず人生に置き換えることができる。不遇な老境を送る人が栄光の日々を懐かしむ姿がうかがえる。●萱葺農家は昔は純農村地帯だったこの町でも激減している。屋根の材料になる「萱」という植物の実態は「ススキ」だったんですね。知りませんでしたこの歳になるまで。昔は藁(わら)と並んで芒は生活に欠かせない材料だったんだ

表紙に戻る
inserted by FC2 system