水面に映える…
9年前の夏、この地に移住してきたとき、「水面映える文化都市」という町のフレーズに驚いた。何をもって「水面」というのだろうか、水郷の町でもないのに…。もしかして、古利根川を指しているのかな。はたまた、生活雑排水が流れ込んでいる灌漑用水のことか?そうだとすれば、水面はあまりにもババッチすぎて、声高にうたうにはちょっと恥ずかしい。従来、この町には池と呼べる大きな水溜りは見当たらなかった。調整池はあるが、コンクリートで周囲は金網でガードされていた。
新しい村ができて、立入り禁止だった東武動物公園の飛び地が開放され植栽の手入れも行き届いた池が誕生した。休日には釣り糸を垂れる人が見受けられる。鮒、鯉に混じってブルーギルもかかるという。キャッチ&リリースする若い釣り人がいるのは好ましい。
水田、用水、池などが点在するこの環境は町民の憩いの場として機能している。どこからともなく、似つかわしくない大音響が聞こえてくる。本来なら、新しい村の入り口になるはずだった場所にある工場からの作業音である。もちろん、町はこのプランに先立ち移転の話をもっていったらしいが、代替地の折り合いがつかず、そのままになった。画竜点睛を欠くとはこのことか。

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