屋敷林のある風景
駅周辺の家では外に干した洗濯物が微風にそよいでいるだけというのに、私の住む地区は強風状態ということがよくある。冬になり北西の季節風が吹き始めると、その激しさは一段と増す。周囲は畑だからさえぎるものがない。季節風のハイウェイである。悪いことにわが家は北西の守りがなにもない。だから、よく耕され微粒子となった畑の土が風に乗って吹き付ける。ミニ黄砂である。サッシの隙間から入り込みフロアはうっすらと白くなる。家を建てるとき、これは計算外であった。昨年、裏に防風林となるように木を植えたが、効果を発揮してくれるのはいつになることやら。
近くの立派な農家には、北西に歳月を経た雑木林がある。木が密集しており、どんな強風でも母屋には到達しない。たぶんこの地で何代も続いているのだろう。常緑樹に混じって孟宗の竹林、柿、梅、茗荷などもあり実質的な楽しみもある。古人の知恵。ここに流れ着いた新住人にとっては、なんともうらやましい北の守りである。

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