米軍の秘密収容所
■コソボ・米軍「ボンドスティール基地」
2005年11月26日読売夕刊に25日付仏ル・モンド紙の記事が紹介されていた。コソボ自治州・州都プリシュティナの南に位置する米軍「ボンドスティール Bondsteel基地」内に、キューバ・グアンタナモ基地から移送された囚人を収監する秘密収容所が設置されている、というのだ。ここで、オレンジ色の服を着た15〜20人の囚人を確認した、としている。
早速、「プリシュティナの南」という情報をたよりに飛んだ。
ヨーロッパの火薬庫と呼ばれ、多民族が入り乱れるこの地域は、チトーのユーゴー・スラビア崩壊後幾つかの国に分裂した。「コソボ自治州」はセルビア・モンテネグロにある。プリシュティナは隣国「マケドニア」寄りだ。山岳地帯だが峻険ではない。東欧の多くは低解像度画像だが、どういうわけかボンドスティール基地の半分は高精細だった。ズームアップしてゆくと、基地が鮮明に見える。戦闘ヘリが並んでいた司令部と思われる大きな建物の脇には数多くの兵舎が並んでいる。このどの部分が「秘密収容所」なのか判らない。世界の警察を自認する米国らしく共産圏以外の地域には必ずといっていいほどこうした米軍基地を見つけることができる。維持費も相当な額になるね。これらを、米国民の税金でまかなっている、というわけだ。

 

 
■キューバ グアンタナモ基地
ここの一部には米中央情報局(CIA)がテロ容疑者を拘束する秘密施設があり、「ブラックサイト」と呼ばれる。オレンジ色の囚人服を着た人々が時おりマスコミで伝えらる。当然、容赦ない拷問も行われているだろう。ところが最近、グアンタナモの「ブラックサイト」は閉鎖され、囚人たちはとっくに別の場所に移されている、という。現在では主に東欧諸国で冷戦時代に使われていた収容施設が転用されているという。そのひとつが、コソボ・米軍「ボンドスティール基地」というわけだ。
イラクの武装勢力に捕われた西欧・アジア人たちも同じ服装をしていた。これは、武装勢力があえて同じ色を選んだのではなのだろうか。処刑は報復の意味も込められているかもしれない。
グアンタナモ基地はキューバ島の東にある。
キューバといえばメキシコ湾の入口で、アメリカ合衆国の喉につきつけられたナイフのような形状をしている。リーダーは老いてますます元気(でもないか)フィデル・カストロ。自由主義の国の入口の共産国家。なぜ、ここの一部に米国の飛び地のような部分があるのか。

グアンタナモ基地。低解像度のため鮮明に見えるのはこれが限度。
黄色い丸のCAMP X−RAYが「ブラック・サイト」だ。
CAMP X−RAYの施設と囚人たち。
 
【以下インターネットからのデータ】
1898年の米西戦争で米軍が占領し、米国の援助でスペインから独立したキューバ新政府は1903年2月23日、グァンタナモ基地の永久租借を認めた。主権はキューバにあり、米国は租借料として金貨2,000枚(今日の価格で約4,000ドル)を支払ってきた。しかしキューバ革命によって成立したフィデル・カストロ政権は米国の基地租借を非合法と非難しており、租借料は1度受け取った以外は受け取りを拒否している。アメリカは冷戦期にキューバの攻撃を恐れ、基地周辺を地雷原にした。

周囲が地雷原で脱走が不可能な上、マスメディアにも実態が見えない海外基地ということで、20世紀後半からキューバやハイチの難民を不法入国者として収容した。2002年のアフガニスタン戦争以来、アルカーイダやタリバンなどイスラム過激派のテロリスト容疑者が収容された。2003年のイラク戦争以来、収容者は増加しており、イギリス人(釈放済み)やオーストラリア人もテロ容疑者として収容されているが、これら容疑者は公判で起訴されることもなく、“犯罪者”と“捕虜”の処遇を使い分けるアメリカ連邦政府の都合で無期限に拘留されるので問題となっていた。米軍としては容疑者の裁判より、テロ組織壊滅のための情報収集(自白、密告誘導など)を目的として拘留を行っている。2004年11月、米軍は同基地収容者に対して心理的、時に物理的な強制を加えており、拷問に等しいとする赤十字国際委員会の報告書がリークされた。
inserted by FC2 system